| 樹状細胞の分化・動態と生体防御 |
| 松野 健二郎 |
| (熊本大学医学部解剖学第二講座) |
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抗原提示の専門家として知られる樹状細胞(Dendritic cell:以下 DC )は、マクロファージの仲間で、動態と機能が明らかに異なる5つの成熟段階を持ったダイナミックな細胞集団である1)。 第1段階は樹状祖細胞 (DC progenitor) のステージであり、主に骨髄に存在し、自己複製しながら前駆細胞を産生する。肝臓にも祖細胞が存在し、肝移植によりホストのリンパ組織に遊走し、アロ免疫応答を引き起こす1)。また、ヒト末梢血幹細胞もDCに分化させることができ、immature DC の時期に自己の白血病細胞を加えると白血病抗原をとりこみキラーT細胞を誘導できる2)。 第2段階は前駆細胞 (DC precursor) のステージであり、骨髄から血行性に体中の臓器にコンスタントに供給される。ラテックスをラットに静注すると、ラテックスを貪食した DC が肝リンパに出現する3)。これは、 感染・炎症が起こった時、DC 前駆細胞がその現場に早期から動員されるモデルと考えられ、次の見張り番期の DC を援助する形で免疫応答をより早く確実なものにする仕組みになっている事が推定される1)。 第3段階は、見張り番期 (immature DC) で、分布した各臓器内に侵入してくる抗原を摂取する。表皮のランゲルハンス細胞、気道上皮の DC や心・肝などの実質臓器のInterstitial DC などがこの代表である。DC は可溶性抗原のみならず、微生物、異常細胞などの顆粒状抗原に対してもこのステージで貪食能を持ち、免疫応答を惹起できる事がわかってきた1,3)。 第4段階は、遊走期で、DC は抗原情報を取り込むことにより1段階成熟して、リンパ組織への遊走能を獲得する。臓器を離れた DC の多くはリンパ管に入り、所属リンパ節へ遊走しT 細胞領域 (傍皮質) へ集積する4)。一部は、血管に入り血行性に脾臓へ遊走し、白脾髄のT 細胞領域 (PALS) へ集積することもある。また、ヒト扁桃では、DC は陰窩上皮からT 細胞領域 (濾胞間域) まで扁桃組織内を遊走し、そこで免疫応答を起こすと言われる5)。さらに、ラットでは DC を静脈投与すると、肝臓から肝リンパ節に血液・リンパ転位を起こす4)。これは、肝臓クッパー細胞が血液中の DC を捕捉し、肝の免疫応答を調節している可能性を示唆する1)。 第5段階は、抗原提示期 (mature DC) である。リンパ臓器に入った DC は最終段階まで成熟する。そして、T 細胞と細胞集塊を形成して抗原提示を行う4)。DC の抗原提示細胞たる由縁は、他の抗原提示細胞とされるマクロファージや B 細胞と比較して、少数で強い免疫応答を惹起出来ること、さらには DC のみが未感作のナイーブ T細胞を活性化しうる事にある。 本講演では、各段階のDC について主に in vivo における我々のデータをお示しし、さらに、応用として、DC をベクターとした免疫療法のモデルをお話ししたい。 Reference 1) Matsuno K & Ezaki T. Dendritic cell dynamics in the liver and hepatic lymh. International Review of Cytology, in press. 2) Fujii S-I, et al. Presentation of Tumor Antigens by Phagocytic Dendritic Cell Clusters Generated from Human CD34+ Hematopoietic Progenitor Cells: Induction of Autologous Cytotoxic T Lymphocytes against Leukemic Cells in AML Patients. Cancer Res. 50:2150-2158, 1999. 3) Matsuno K, et al. A life stage of particle-laden rat dendritic cells in vivo: Their terminal division, active phagocytosis and translocation from the liver to the draining lymph. J. Exp. Med. 183: 1865-1878, 1996. 4) Kudo S, et al. A novel migration pathway for rat dendritic cells from the blood: Hepatic sinusoids-lymph translocation. J. Exp. Med. 185: 777-784, 1997. 5) 松野健二郎、佐伯隆人. 未熟および成熟樹状細胞の局在の差とケモカイン. 臨床免疫. 31:634-640,1999. |