マウス腎臓の組織構造
−系統および雌雄の特性−
矢吹 映
(鹿児島大学農学部獣医学科家畜解剖学教室)
 腎臓は,形態学的特徴と機能とが密接に関連している器官であり,その構造的変化は機能的変化をよく反映している。それ故に,臨床,応用あるいは基礎研究に関わらず,組織学的検索に重きが置かれている。この観点において,重要かつ基礎となるのは正常な組織構造の把握であり,実際に腎臓の組織構造については,ネフロンの各区分ごとに電子顕微鏡レベルまでの検索が古くから行われている。しかしながら,動物実験で最も基礎的な事項である「動物の特性」についてはほとんど明らかにされておらず,各種実験動物の系統や雌雄の特性については依然として不明な点が多い。これは,実験動物として最も使用頻度が高いマウスや腎臓の形態解析が最も進んでいるラットでも同様である。
 このような背景から,われわれは,各種実験動物の系統および雌雄に依存する腎臓の組織学的特性を検索している。今回は,マウスでこれまで得られた成績について新知見を含めて紹介する。なお,実験成績は比較的使用頻度の高いJcl: ICR, C57BL/6CrSlc, BALB/cA Jcl, C3H/HeN JclおよびDBA/2Cr Slcの5系統のマウスで得られたものである。


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