トランスジェネレーションアッセイによる
エチニルエストラジオールの低用量影響評価
青山 博昭1)・鈴木 勝士2)
1)(財)残留農薬研究所・2)日本獣医畜産大学)
 内分泌攪乱作用が疑われる物質の多くはエストロゲン様作用をもつことが知られているが,これらの物質を極低用量で動物に投与したいくつかの実験で,すでに実施された毒性試験で得られた無毒性量よりもさらに低い用量で他の影響が現れたとする報告がある。いわゆる「低用量問題」である。我々は,エストロゲン様作用を持つ化学物質の低用量影響を正確に検出する試験法を開発する作業の一貫として,エチニルエストラジオール(EE)を陽性対照物質に用いたパイロット試験を実施した。我々が提唱する方法は,ラットを用いた1世代生殖試験に種々の改良を加えた,トランスジェネレーションアッセイと呼ばれる試験法である。トランスジェネレーションアッセイでは,哺育児の間引きを一切行わず,すべての児動物について一定時期に同一の検査を実施する。この方法を採用することにより,動物の反応から生じた偶然の偏りにより化学物質の影響を過大評価する恐れを回避しつつ,出現頻度の低い異常をも見落とすことなく検出することが可能となるものと期待される。
 上述のごとき検査法に関する改良に加え,エストロゲン様作用を鋭敏に検出するための指標を追加した今回の実験では,EEの低用量影響をほぼ満足の得られる水準で検出することができた。今回のシンポジウムでは,これまでに得られた研究成果を簡単に紹介するとともに,低用量影響の有害性の有無について考察する。


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