日本獣医解剖学会組織標本ライブラリー(HistoJAVA) 概要

まえがき

 バーチャルスライドとは、組織標本の顕微鏡画像をコンピュータに取り込み、デジタルデータとして閲覧を可能にしたシステムです。視野の移動や倍率の変更は、手元にある標本を顕微鏡で覗くのと同じような感覚で容易に行う事ができます。このシステムを利用して、全国の獣医系学部・学科が所有する組織標本をデジタルデータ化し、ウェブを介して共有することすることができれば、組織学実習など、獣医解剖学教育の質的向上に繋がると期待できます。

 きっかけは、2013年9月に岐阜大学で開催された第156回日本獣医学会学術集会でした。日本獣医解剖学会の若手勉強会で参加者から上がった「学会員が教育教材として自由に利用できる組織スライドのライブラリー」制作を求める声を受け、中牟田信明、市居 修、恒川直樹らが発起人となって若手勉強会参加者を中心に各大学の世話人を選出し、運用方針等についてメールで意見交換を行いました。バーチャルスライドシステムは複数の会社から提供されていますが、それぞれファイル形式が異なるため、操作性や画質についても考慮しながら慎重に議論を重ねました。

 日本獣医解剖学会はネットワークサーバーを所有していないため、当初はハードディスクでのデータ配布を予定していました。しかし、2014年5月に北海道大学大学院獣医学研究科の協力により、同学のGlexa(教育用サーバ)を用いて日本獣医解剖学会がサーバを運用できることになり、それによってウェブ上での利用が実現するだけでなく、Glexaシステムを使用した二重のID/PASS管理、利用時間の把握、閲覧者の特定も可能になりました。

 2014年9月に北海道大学で開催された第157回日本獣医学会学術集会では、日本獣医解剖学会の総会でバーチャルスライドライブラリー制作の趣旨を説明し、学会から補助金の支給について承認をいただきました。その後、同年12月には各大学の世話人へ標本送付を依頼し、スキャン作業を開始しました。2015年1月には日本獣医解剖学会から補助金30万円を受領し、このときバーチャルスライドライブラリーの名称は「日本獣医解剖学会組織標本ライブラリー(通称HistoJAVA)」と決まりました。

 2015年4月時点で、日本大学、東京農工大学、大阪府立大学、北海道大学、酪農学園大学、鹿児島大学(データによる送付)、東京大学からお送りいただいた標本は全てデジタルデータ化を完了し、スライドグラスをお返ししました。間もなく帯広畜産大学、日本獣医生命科学大学、山口大学(データによる送付)の標本もスキャンが完了する予定です。

 HistoJAVAの実現に向けてご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。

2015年4月

HistoJAVA世話人代表

   (総括) 中牟田信明

(庶務・サーバ管理) 市居  修

(会計) 恒川 直樹


世話人一覧

帯広畜産大学・近藤 大輔
酪農学園大学・美名口 順、竹花 一成
北海道大学・市居 修
北里大学・吉岡 一機
岩手大学・中牟田 信明
東京大学・九郎丸 正道
日本獣医生命科学大学・添田 聡
東京農工大学・柴田 秀史
麻布大学・坂上 元栄
日本大学・安井 禎・恒川 直樹
岐阜大学・齋藤 正一郎
大阪府立大学・中島 崇行
鳥取大学・割田 克彦
山口大学・日下部 健
宮崎大学・脇谷 晶一

鹿児島大学・辻尾 祐志

(敬称略、平成28年10月現在)

*全国の獣医系学部・学科の若手勉強会参加者を中心に世話人をお願いしました。また、スライド授受の際に窓口となっていただいた先生方のお名前も載せてあります。交代の必要が生じた際には新たにお引き受けいただける方をお知らせ下さい(ichi-o@vetmed.hokudai.ac.jp)。


HistoJAVAの運用方針

1.著作権について

ライブラリーに収録されたスキャンデータの著作権は学会にあり、データの一部または全部を複製し再配布することは禁止します。標本の著作権はスライドグラスの所有者にあると考え、スライドの提供者を標本リストに記載してあります。


2.利用範囲について

スライドの提供者が許可する利用範囲についても、標本リストに記載してあります。研究を含め、原則として個別の目的にデータを流用することは認めません。また、利用者はウェブで他大学のスキャンデータを利用できても、ダウンロードは出来ない仕組みになっています。


3.今後の方針について

現時点では原則的に日本獣医解剖学会に所属する教員が講義・実習で使用することとし、学生にIDを発行することや、教員のIDを使って学生がログインすることを認めていません。今後、アンケートを実施して利用者からお寄せいただいたご意見・ご要望をもとに、世話人で協議しながら運用方針に反映させていく予定です。


*ご利用希望、ご質問・意見・要望は
 北海道大学・市居(ichi-o@vetmed.hokudai.ac.jp)までご連絡ください。